A camera installed on a machine spindle. 画像を用いた2次元位置誤差測定
工作機械送り系の2次元平面上での位置決め誤差を測定するために,交差格子スケールが普及しています.例えば,任意の指令軌跡に対する輪郭誤差を評価したり,交差格子スケールのセルフキャリブレーションで示したように,2次元平面上での誤差マップを作成するような使い方が可能です.
 
 
しかし,交差格子スケール(Heidenhain社KGMに代表される2次元スケール)には,共通して以下のような問題があると考えています.
  • センサとグリッドの距離を1mm以下に調整しなくてはならず,セットアップに注意が必要.
  • スケールとヘッドの向きが厳密に調整されなくてはならず,セットアップに手間がかかる.また,テーブルに対してヘッドが回転するような測定は不可.
  • グリッドの配列誤差による測定誤差を較正するのが困難で,例えば真直度・直角度をどの程度の精度で測定できるのか,よく分からない.
最近のカメラの高性能化・低価格化を背景として,画像を用いた検査や位置決めは様々な分野で急速に普及しています.本研究では,工作機械の2次元運動誤差を計測するために,画像を用いた方法が有望ではないかと考えて,その実用化のための研究を行っています.
 
精度が既知であるアーティファクトを撮影対象とし,そのなかの基準位置を工作機械上で計測することで,工作機械自体の運動精度を評価します.このような方法には,以下のような長所があると考えます(2009年3月).
  • カメラとアーティファクトの距離は数10mm離すことができ,安全.
  • カメラに対しアーティファクトが回転するような測定も可能.例えば旋回軸の評価も行える.
  • アーティファクトの精度を較正するのが比較的容易.
  • 交差格子スケールより安価.
 
>> 関連論文: JE21, CE43, CJ52, CJ44, CJ43
 
 
 
Configuration of camera setup.
 
図1: カメラを用いて2次元平面上での位置決め誤差測定を行っている様子です.立型マシニングセンタの主軸にカメラ・レンズ・ライトを取り付けています.撮影対象のアーティファクトとして,ここではガラスプレート上に格子が蒸着されたガラスグリッドを用いています.
 
 
 
Image of glass grid.
 
図2: ガラスグリッドの撮影画像の一例です.実際には白黒画像で,明暗を色で表現しています.グリッド点の位置を認識し,それから機械の真直度,直角度,位置決め誤差などを評価するテストです.
 
 
 
Configuration of camera setup.
 
図3: オプティカル・フラットを撮影対象として,真直度を評価するテストを行っている様子です.