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    3辺測量の原理では,レーザ干渉計を用いて測定されるターゲットまでの距離だけを用いて,ターゲットの位置を計算するため,レーザの方向は計算に使用されません.そのため,レーザの方向の制御は高精度である必要がない,という特徴があります.この特徴をさらに積極的に利用すれば,レーザの角度を自動追尾機構で決める必要はなく,ターゲット(主軸)の指令位置にレーザを向けるだけで,同じ測定ができるのではないかと考えました.     つまり,レーザ干渉計を,その方向を変えるための回転テーブルの上に載せるだけで,それ以外の特別な機構がなくても,自動追尾式のレーザトラッカと同じ測定ができるのではないか,というのが研究のアイデアです.     我々は,このような測定器を「オープンループ」レーザトラッカと呼んでいます.レーザの方向はターゲットの指令位置に基づき決めるだけで,実際の位置とのずれをフィードバック制御しない,という意味で「オープンループ」と呼んでいます.     研究の第1段階として,問題を単純化するために,ターゲットの2次元位置の測定を目的としました.レーザ干渉計を,1軸の回転テーブルの上に載せた装置を製作し,実際に自動追尾式のレーザトラッカと同様の精度で測定が行えるかどうかを,実験と測定不確かさの解析の両方で調べました.(2011年3月)     >> 関連論文: JE30, CJ67       図1: 「オープンループ」レーザトラッカを用いた測定の様子です.回転テーブルでレーザの方向を制御し,主軸に取り付けたキャッツ・アイを追尾します.測定の目的はキャッツ・アイの2次元位置を測定することです.キャッツ・アイとは,レーザ光を入射方向と同じ方向に反射する,レトロレフレクタの一種です.      
図2: 「オープンループ」レーザトラッカを用いて測定した2次元運動軌跡("estimated")です.100mm×100mmの正方形状のパスに沿って工作機械を駆動し,指令軌跡("Command")との差を拡大して表示しています.交差格子スケールによる測定結果("KGM")と比較し,「オープンループ」レーザトラッカによる測定の精度を確認しました.数um程度の差がありますが,これは機械の温度変形の影響で,「オープンループ」レーザトラッカによる測定精度は十分であると考えています.
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