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    例えば,回転テーブル(C軸)上にR-test装置を設置し,回転テーブルを1回転して測定を行えば,球の軌跡は理想的には真円になるはずです.R-test装置を使って実際の球の軌跡と,指令軌跡との差を測定し,そこから旋回軸の誤差運動を評価することができます.     旋回軸の割り出し誤差だけでなく,旋回中心軸と直進軸の直角度,中心のずれ,旋回の振れなどの運動誤差を,総合的に評価することができます.     また,回転テーブル(C軸)が傾斜軸(B軸)上に設置されているような機械構造では,傾斜軸(B軸)が垂直に近づくと,重力による変形が原因で,回転テーブル(C軸)の運動誤差が大きくなることがあります.R-test測定の特長は,様々な割り出し角度での測定を高能率に,自動的に行うことができる点にあります.     この研究では,R-test測定の結果から,回転テーブルの運動誤差,及びそれが傾斜軸の旋回に伴ってどう変わっていくか,を視覚的に評価する方法を開発しました(図1〜図3参照).これらから,旋回軸の「誤差マップ」を構築でき,数値補正についても研究しています.     また,機械の発熱によって,回転テーブルの運動誤差のどのように変化するかを,R-test測定によって評価する,新しい熱変位試験法も提案しました(図4〜図5参照).(2012年4月)     >> 関連論文: JE26, JE25, JE23, JE19, CE47, CE44         図1: 我々が試作したR-test装置による測定の様子です.      
図2: R-test測定の結果の一例です.図1に示す構造の5軸加工機で,B=0°のときに旋回テーブルを回転したとき,実際にどのようにテーブルが回転しているかを,誤差を拡大して表示した図です.図3の見方を示しています.球の指令位置が黒丸●で与えられ,R-testで測定された実際の球の位置を青丸○で示しています.緑の円は,測定位置から計算した平均円です.    
図3: 図2の測定を,様々なB軸の角度で行い,測定結果をアニメーションにしたものです.回転テーブル(C軸)の誤差運動が,傾斜軸(B軸)の角度によってどう変わるかを,視覚的に理解することができます.ここから,旋回軸の「誤差マップ」を作ります.     図4: R-testを使った熱変形試験の実験の様子です.       図5: R-testを使った熱変形試験の測定結果です.旋回軸を反復連続運転して発熱させ,それが回転テーブルの誤差運動にどう影響するかを調べました.上図がB=0°のときの球変位の測定結果の,XY平面への投影(上から見た図),下図がXZ平面への投影(手前から見た図)です.反復連続運転を1時間,2時間と継続することで,回転テーブルの中心が-Y方向(手前)にシフトしてくることが観察できます.            | |||||