R-test device. R-test
5軸加工機や,旋盤形の複合加工機の旋回軸の誤差キャリブレーションを目的とした,R-testという新しい測定器が提案されています.最近になって,市販化も進んでいます.
 
 
R-test装置は,主軸にとりつけた基準球と,テーブル側の3本の変位センサから成ります.変位センサは,概ね球の中心を向くようにセットされており,3つのセンサの変位を幾何学的に演算し,球のXYZ方向の変位に変換することができます.センサの測定範囲の制約から,主軸とテーブルは相対変位が生じないように指令を与え,同期運転することが前提となります.
 
 
球の変位を変位センサで測定するという原理自体は,例えばボールバー測定などと同様です.ただし,3方向の誤差を同時に測定できるため,測定の能率が高く,自動化に適していることが最大の長所と言えます.
 
 
我々は,2つの旋回軸を様々な角度で割り出し,そのときの主軸−テーブルの3次元相対変位をR-testで測定していく測定パターンを考えました.これで得られる膨大なデータを処理して,旋回軸の位置と姿勢の誤差が,旋回に伴ってどう変わっていくかを表す,「誤差マップ」を作るアルゴリズムを提案しました.旋回軸の「芯ずれ」や傾きといった基本的な誤差はもちろん,重力による変形,旋回軸の振れ・アンギュラモーション,それらが旋回に伴ってどう変わっていくかなど,より複雑な誤差を評価することができます.(2011年2月)
 
 
>> 関連論文: JE19, CE44, CJ53, CJ46, CJ45
 
 
 
our prototype R-test.
 
our prototype R-test.
 
図1: 我々が試作したR-test装置による測定の様子です.
 
 
 
R-test procedure.
 
図2: 我々が検討してきたR-test測定の模式図です.2つの旋回軸を様々な角度で割り出し,そのときの主軸−テーブルの3次元相対変位をR-testで測定します.これで得られる膨大なデータを処理して,旋回軸の「誤差マップ」を作ります.