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    対角線測定の拡張として,ステップ対角線測定という測定法が近年提案されました.これは,図1に示すように,機械を対角線に沿うジグザグ経路によって移動し,対角線方向の変位を測定するというものです.対角線測定と比べて強力な利点は,測定結果から,X, Y, Z軸全ての位置決め誤差,真直度,直角度を独立に評価することができる,というものです.     通常,真直度や直角度は,直定規・直角定規といった物理的基準と,変位センサを用いて測定されます(図2参照).全ての評価を行うためにはセットアップにかなりの手間が必要であり,また特に長い距離の測定のためには,長い基準を準備する必要があり,測定のコストも高くなります.     ステップ対角線測定は,レーザ測長器のみを用いて,これらの誤差を一度に,簡便に評価することができる測定法です.しかし,ステップ対角線測定による推定値と,従来の方法で測定した値とを比べると,大きく異なる場合があることが知られていました.この研究では,ステップ対角線測定の従来の定式化の本質的な問題点を議論し,この原因を明らかにしました.かつ,この問題点をクリアした新しい定式化を提案し,ステップ対角線測定の有効性を実験により検証しました.(2008年3月).   >> 関連論文: JE16, JE10, CJ40, CE38, CE32, CJ38     図1: ステップ対角線測定の模式図です.レーザ光軸は立方体の対角線方向に固定します.機械はこの対角線に沿うジグザグ経路を移動します.そのときの対角線方向の変位を測定します.       図2: 真直度,直角度の一般的な測定法.直角定規(ここではキューブ型マスタ)や直定規と,変位センサ(ここではレーザ変位計)を用います.3軸全てを測定するためには,位置決め誤差3回,真直度6回,直角度3回の測定が必要となることになります.       図3: ステップ対角線測定の様子です.ジグザグ経路を移動してもレーザ光が常に帰るように,ターゲットには幅広の鏡を用います.ここでは,Optodyne, Inc.社のレーザ測長器を用いています.             | |||||