| |||||
    5軸制御加工機による加工は,回転運動と直進運動の組み合わせになるため,回転軸・直進軸が持つ誤差要因が複雑に影響し,最終的な加工精度として転写されます.ここでは,各軸が持つ誤差要因が,どのような形で最終的な加工誤差に影響するかを容易に評価することができる,加工シミュレータを構築しました.その応用例として,5軸制御加工機の加工精度を評価するための試験として普及している,NAS979規格に定められたテーパコーン加工試験を考えました.     回転軸の傾き(例えば回転軸とX軸,Y軸との直角度など)やオフセット誤差など,5軸制御加工機の組み立て誤差により生じる最も基本的な誤差を,幾何誤差と総称します.機械の幾何誤差を予め測定し,それらが加工形状誤差に及ぼす影響を評価できれば,それを補正することも可能です.実験では補正のテストも行い,テーパコーンの真円度誤差が大きく低減することを確認しました(2007年9月).     また,例えば旋回軸の位置決め誤差,振れやアンギュラ・モーション,重力による変形などの,旋回軸のより複雑な運動誤差が,どのようにテーパコーンの真円度誤差に影響するかを解析し,テーパコーンの加工精度に大きな影響を及ぼす要因を明らかにしました.(2010年3月)     >> 関連論文: JE18, CE41 JE11, CE34     図1: テーブル旋回型と呼ばれる典型的な5軸制御加工機の構造の一例です.ワークを乗せて回転する回転テーブルと,それとチルトさせる傾斜軸を持っています.       図2: テーパコーン加工試験により作成したテストピースです.左は真円度測定器を用いて,加工したテーパコーンの真円度を測定しているところです.右は,5軸制御加工機に設置された状態です.             | |||||