A testpiece of the machining test. 5軸制御加工機の誤差原因診断を目的とした加工試験
5軸制御加工機の加工精度を評価するための加工試験として,唯一普及しているのはNAS979規格に定められたテーパコーン加工試験です.テーパコーン加工試験の形状精度には,機械の様々な誤差要因が複合的に影響します.そのため,例えばテーパコーンの形状誤差が十分小さくなかったとき,それが何故生じたのか,機械のどこを調整すればいいのかを診断するのは,極めて難しいことです.
 
 
回転軸の傾き(例えば回転軸とX軸,Y軸との直角度など)やオフセット誤差など,5軸制御加工機の組み立て誤差により生じる最も基本的な誤差を,幾何誤差と総称します.幾つかの幾何誤差はテーパコーン加工試験の形状誤差に同じような影響を与えたり,あるいは条件によっては全く影響を与えない幾何誤差もあるため,幾何誤差をテーパコーン加工試験の結果から別々に評価することは不可能であることが分かっています.
 
 
ここでは,幾何誤差を個別に診断することを目的として,5軸制御加工機の全く新しい加工試験法を提案しました(2008年3月).
 
>> 関連論文: JE14, CJ48
 
 
 
Testpiece #1.     Testpiece #2.
図1: 加工試験により作成したテストピースです.5軸制御加工機の回転軸を様々に動かして,階段状の段を加工していきます.段の幅,側面の平行度,底面の高さ,平面度などを3次元測定器やタッチプローブを用いて測定し,そこから機械の誤差診断を行います.
 
 
 
5-axis machining test.
図2: 加工の様子です.ここではA軸(テーブルチルト軸)を傾けた状態で,エンドミルによる側面加工を行います.