A milling head of an integrated machine tool. 複合加工機のミリング主軸旋回軸の運動誤差の測定
従来の旋盤に,マシニングセンタと同様の切削性能を持つミリング主軸を加え,旋削と切削を同じ機械で行えるようにした工作機械を,一般に複合加工機と呼びます.複合加工機は近年急速に普及しており,日本の工作機械メーカの多くにとって主力機種に育ちつつあります.図1は複合加工機の典型的な構造の一例を示したものです.
 
 
工程集約を可能な限り進めるため,複合加工機には多くの直進軸,旋回軸が組み込まれています.複合加工機の本格的な普及に伴い,複合加工機にも従来のマシニングセンタと同等の運動精度が求められるようになってきました.複合加工機の精度を高める基礎として,その運動精度を正確に,かつ簡便に計測する方法を確立することは必要不可欠であると言えます.
 
 
ここでは,複合加工機のミリング主軸旋回軸(図1のB軸)の運動誤差を測定する方法を考えました.一般に,旋回軸の回転位置決め精度はオートコリメータなどを用いて測定されます.その場合,多面鏡(割り出し盤つき鏡)を回転中心に置かねばならず,ミリング主軸旋回軸はそれが難しいこともあります.また,測定されるのは回転中心での精度で,工具端における精度を測定しているわけではありません.本研究では,DBB (double ball bar) 測定装置を用いて,工具端においてミリング主軸旋回軸の運動誤差を,特に動的な誤差を評価する方法を考案しました.(2006年3月)
 
>> 関連論文:  JJ11, CJ34
 
 
Configuration of an integrated machine tool.
 
図1: 複合加工機の典型的な構造の一例(森精機製作所NT4200の例).ワーク主軸に加え,切削を行うためのミリング主軸を備えています.それを旋回させるのがB軸です.
 
 
 
DBB test.
 
DBB test.
 
図2: 異なるタイプの複合加工機において,ミリング主軸旋回軸の動的運動誤差を,DBB装置を用いて測定しているところです.