建設機械の自動制御のための機体キャリブレーション
 
 

ショベルカーなどの建設機械の自動運転は,乗用車以上のスピードで,実用化に向けて研究開発が進んでいます.土木・建築現場や,鉱山などでの労働環境の改善や,そのような現場での人手不足が背景です.公道と異なり,歩行者など,不測の事態が少ない,という側面もあります.

ショベルカーを使って,希望の掘削作業を行うために,バケットを位置と向きを制御するためには,まず,バケットの位置と向きを知らなくてはなりません.現在は,ブームやアームの角度を,IMU (Inertial Measurement Unit) センサや,シリンダ長のセンサなどを使ってリアルタイム測定し,それから間接的に求める方法が主流です.

ブームやアームの角度から,バケットの位置・向きを計算するには,ブームやアームの長さなど,幾つかの寸法を正確に知ることが必要です.建設機械の大きな部品は,製造誤差も大きく,より正確な制御のためには,1台ごとにそれらを測定する必要があると考えます.近い将来,自動制御の建設機械が量産されるようになれば,完成機を早く,できるだけ自動的に測定する技術が必要になります.

ショベルカーの機構は, スカラ型ロボットと本質的には似ています.我々のロボットに関する研究が,建設機械の機体キャリブレーションにも活かせるのではないかと考えました.このプロジェクトでは,レーザトラッカを使った測定で,ブームやアームの長さ,IMUセンサの取り付け角度の誤差などの「機構パラメータ」を,高速にかつ正確に同定する方法を提案しました.

この研究は,株式会社小松製作所との共同研究で実施しました.
(鳥辺 健介,茨木,2022年4月)

>> Publications: CJ36, CE15

 
 

図1: ショベルカーを運転者が様々に運転し,バケットの位置をレーザトラッカで測定します.そこから,ショベルカーの様々な機構パラメータを同定する方法を考案しました.これによってバケットの位置・姿勢の制御性能が改善できます.
 
 
 
 
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