Laser R-Test
 
 

5軸工作機械の旋回軸の運動精度測定を行うため,R-Testと呼ばれる測定器を,我々は研究してきました.旋回軸を回転し,直進2軸をそれと同期して円弧運動させることで,旋回軸の運動を3次元測定するための装置です.我々の研究成果は,R-Test測定を解析するためのソフトウェアとして,福田交易株式会社から市販化されました(「FKDシステム」).

通常のR-Test装置では,図2のように,接触式の変位センサを3本使うことが多いです.それに対し,国立台湾大学(当時 国立虎尾科技大学)の覺文郁 (Wen-Yuh Jywe) 教授らのグループは,レーザ光の屈折を利用して,非接触で球の3次元変位を測定できる,Laser R-Testという装置を開発し,市販化も行いました(図1).

我々は,覺文郁 教授らのグループと共同研究で,Laser R-Testの測定性能を評価する研究を行いました.特に,接触式の変位センサは,プローブを球に押し付けるためのばねを,内部に持っています.その動特性が,特に動的な測定に対して,悪い影響を及ぼす可能性があります.また,プローブと球の間の摩擦も,測定誤差の原因をなる可能性があります.つまり,非接触のLaser R-Testは,特に動的な測定において,接触式より有利である可能性があると考え,実験で測定性能の比較を行いました.ISO 10791-6:2014に規定された試験で比較を行いました.

この研究は,国立台湾大学(当時 国立虎尾科技大学)の覺文郁 (Wen-Yuh Jywe) 教授らのグループとの共同研究で実施しました.
(小野寺 浩樹,茨木,2021年3月)(執筆:2023年7月)

>> Publications: JE23, CJ23, CJ14, CJ7

 
 

図1: Laser R-Testによる測定です.回転テーブル(C軸)を回転し,それと同期して主軸側も円弧運動させて,球の変位を測定します.

図2: 接触式変位センサを使ったR-Testによる測定です.図1と同じ試験をして,比較をしました.

図3: 同じ測定は,特別な測定器を使わなくても,球と変位センサがあればできます.図1, 2と同様に,回転テーブルの回転と,主軸の円弧運動を同期させます.ここでは,高精度測定のために,レーザ干渉計(キーエンス SI-F10)を使いました.ただ,変位センサが1個であれば,球の3次元変位を測定するためには,同様の測定を3方向で繰り返す必要があります.
 
 
 
 
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