ISO 10791-10規格に提案している工作機械の熱変形の評価を目的とした工作試験
 
 

工作機械に運動誤差が生じる大きな原因のひとつは,熱変形です.特に工作機械では,主軸のモータが大きな発熱源となります.

マシニングセンタの熱変形を評価する代表的な方法は,ISO 10791-10規格に示されています.しかし,同じ工作試験を一定時間繰り返し, 加工物の形状精度の変化を調べるという方法は, 工作機械メーカの現場で行われている例は多いにも関わらず, 規格は確立していません.

我々は, (一社) 日本工作機械工業会・工作精度試験方法通則専門委員会と共に, 工作試験の熱変形の評価を目的とした工作試験法を, ISO 10791-10規格の新しい附属書として追加することをISOTC39/SC2 専門委員会に提案しています. 2018年11月現在, 提案の最初のバージョンが議論されており, 3年以内のISO 規格化を目指しています.

本研究では, この原案で提案されている工作試験法の解析法を構築したり, 試験を実施する上での課題などを明らかにすることを目的としています. (奥村 凛,茨木,2018年11月)

>> Publications: JE5, JE4, CJ8, CJ5, CJ3

 
 

図1: 試験法1:エンドミルを使った穴加工と,主軸の暖機運転(15分間)を,計16穴(約4時間)繰り返します.主軸のZ方向の熱変形を,穴深さの変化から評価します.写真は,レーザ変位計で穴深さを機上計測しているところです.
 

図2: 試験法2:ピラミッド型ワークの各段を,旋回2軸を異なる角度に割り出して加工します.これを計4回繰り返し,段の幅,位置度,平行度などの形状誤差が,どのように変化していくかを,3次元測定器で測定します.
 
 
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